欧州の想い出 「上る」 -Day 7-
ケルンの宿を発ち、3日間旅程を共にしたルノー・カジャールを返却すべくフランクフルト市街へと向かう。
それにしても、仮にも車メインのブログでありながら写真が1枚も無いってのはどうなんだ。
それだけ良い印象が無かったというか、100km/h付近でハンドルがブルブルと震える印象しか無かった。
6速MTという点だけは楽しかったが・・・
それはさておき、フランクフルト市街のレンタカー返却場所を探すのにかなり苦労してグルグルと市街を回る羽目になった。
たまに日本のレンタカー店舗でもあるが、立体駐車場のn階とかにある返却場所は非常にわかりづらい。
まぁ、あまりに順風満帆な旅行なだけに少しは苦労しろということなのだろう。
おまけに、まったく気付かなかったがトランクのステップに荷物の積み下ろしで生じた凹みに難癖をつけられた。
ドイツ(というか海外?)のレンタカー屋ってのはなかなか適当で、以前ドイツで借りた時は誰も見にこなかったし、なんなら給油すらしないで返したのに何も言われなかった。と思いきや、今度は欧州人は気にもしないような小さな凹みに難癖をつけられたり。
両方とも同じEur○pCarなのだが・・・
ま、レンタカーを借りる時は何があっても免責0円のプランに入るのが紳士の当然の振る舞いってやつだ。
借りるのも貸すのも、お金が絡む取引ってのは常にリスクがある。我々ながら、万全のリスクマネジメントである。
かのジェレミー・クラークソンは「公道で最速の車はレンタカーである」との名言(?)を残しているが、全く以てその通りである。
くだらない前置きが長くなったが、国際金融の中心地、フランクフルトである。
わかりやすく輝くユーロマークがあるが、ここが欧州中央銀行。
フランクフルトはいかにも金融街というか、先進的な大都市といった風情。
一方で昔から残っている大聖堂を含む旧市街も残されており、一大観光地ではないのだろうが見どころは十分にある。
それを象徴する場所の一つが、レーマー広場だ。
印象的な木組みの建物が3つ建ち並んでおり、写真には写っていないが中央には噴水がある。
同じくレーマー広場に佇むゴシック様式の建物は旧聖ニコラス教会。
なんと15世紀半ばに建てられたものなのだとか。
内部も自由に出入りして見学もといお祈りをすることができる。
たとえ欧州一の金融街であろうと、少し歩いた場所に旧市街が未開発のまま残され、市民や観光客の憩いの場になっているのがなんとも素敵である。
高層ビルに囲まれる生活というのは、心の閉塞感を増長するだけである。
街のすぐ隣にはマイン川が流れている。
そしてその川にかかっているのが通称:鉄の橋(Eiserner Steg)である。
もとは1869年に架かった橋のようだが、第二次世界大戦で破壊され、現存しているものは1993年に復刻されたものとのこと。
橋の手すりには恋人たちが南京錠をつけていくらしく、随分とにぎやかになっている。こういうカルチャーはどこから広まったのか、それとも自然発生的に生まれるのか不思議ではあるのだが、万国共通のように思える。
橋の中央上部にはホメロスの『Odyssey(オデュッセイア)』の一節が刻まれている。らしいのだが、残念ながら私の教養では理解できなかった。
私の教養でも理解できるものとしては、橋から眺める景色は素晴らしいの一言である。
橋の上から東側を見渡す。
左側に見える高い建物は聖バルトロメウス大聖堂。
高さは95m、フランクフルトを象徴する一つの風景であろう。
続いて西側を見渡せば、近代的な金融街の高層ビル群が旧市街越しに見える。
旧市街と近代の街並みとの共存がなんとも素晴らしいではないか・・・本当に・・・
さて、そして聖バルトロメウス大聖堂である。
こちらは2ユーロほど支払えば上まで登ることができる。
といっても、だ。
328段の螺旋階段を90m近くひたすら登るというのはかなり疲れるものである。
おまけに、当時の人はここを観光地化して人がすれ違うことなど到底考えてもいないわけだから、かな〜り狭い。
さらにおまけに、三半規管の弱い私は頂上に着く頃にはすっかり目が回ってしまった・・・
だが、それでも頂上からの景色を見ればその苦労もどこかへ吹き飛んでしまう。
フランクフルトは76万人が住む、ドイツでは5番目の都市だ。いわば”大都会”である。
それがどうだろう、こんなにも美しく、魅力に溢れているのだ。
螺旋階段で登るとかなりの疲労感ではあるが、とは言ってもたかだか90m程度である。
東京にあれば埋もれてしまう程度の高さで、これだけ街を一望できるというのは、本当に素晴らしい。
空は広ければ広いほど、健康に良いのだ。
ここで食事。
レーマー広場にあるRömer-Bembelという店に入った。
パスタ的なものが何なのかはよく覚えていないが、普通に美味しくいただいた。
足元に置いておいた鞄にソースをこぼしてしまい、今になってもシミが残っているのだが、これもまた良い思い出である。
シミを見るたびに、この日のことを思い出すのだ。
この日はフランクフルト市街のホテルへ宿泊した。
(続く)