初夏の北海道ツーリング 2020 4日目
4日目です。
今日はあまり計画を立てていません。
いや、宿は決まっているので選択肢は限られているんですが。
ドーミーインで朝食です。
ビュッフェスタイルは廃止になり、和洋の選択制と小鉢のメニューになっていました。
まずは汚れ放題のボクスターを洗車。
以前も利用した網走のコイン洗車場です。
ま、多少綺麗にはなったので良しとします。(友人に悲劇的アクシデントもありましたが・・・)
まずは藻琴駅へと向かって作戦会議をします。
この駅舎は1924年の開業当初の駅舎がそのまま残っています。
今は無人駅ですが、かつての駅事務所のスペースを使った「軽食&喫茶 トロッコ」があります。(この日は営業前でしたが)
北海道にはこのような歴史ある駅舎が多数残っています。
それでも、廃線によって減っているのでしょうが・・・
旅情を誘う、木造駅舎です。
さて、作戦会議を終え、今日の旅程が決まりました。
まずは藻琴駅前のd102から屈斜路湖方面へヒルクライム。
ハイランド小清水725を目指します。
一部通行止めで迂回を余儀なくされましたが、ほかは至って快走路。
素晴らしいワインディングロードを駆け抜け、ハイランド小清水725へ。
展望施設でソフトクリームタイムです。
なんでこんな中途半端な写真しか無いかって、カメラのSDカードを入れ忘れていました。間抜けです^^;;
ここから川湯温泉を通り、d52屈斜路摩周湖畔線を通ります。
と言っても摩周湖は今回はパス。
少し先を急いで向かいたい場所があるのです。
R243→d13と繋いで開陽台へ立ち寄ります。
こちらは有名なミルクロード。
ミルクを積んだトラックがよく通ることから、そう名付けられているそうです。
そして開陽台に到着。
ここも毎年訪れている大好きな場所です。
わずか標高は270mにも関わらず、地平線の彼方まで見通すことが出来ます。
北海道はどこに行っても感動を連れてきますが、中でも道東の自然は圧倒的です。
(ここでSDカードの入れ忘れに気づきました^^;;)
そして開陽台からはさらに東進をして、以前から訪れたかった地である「野付半島」へと向かいました。
野付半島は道東の知床半島と根室半島のちょうど中間に位置しています。
そしてそのカタチからもわかる通り、全長約26kmで日本最大の砂の半島、砂嘴(さし)です。
近年では約1.5cm/年の地盤沈下が起こっているとされ、将来的にはいずれは消滅するとも言われています。
つまり、野付半島で今見られる風景はまさに今しか見られない風景であり、永遠ではないのです。
そんな運命にある野付半島は、なるべく早くこの目で見ておかねばという使命感があり、今回の旅で訪れることにしたのです。
まずは野付半島ネイチャーセンターへ車を停めます。
ネイチャーセンターの中のレストラン「レストラン NOTSUKE」ではなんと北海シマエビが入荷していました!
というわけで迷わずここで昼食。
噂には聞いていた北海しまえびですが、ちょうど今が漁期。
漁獲量が決まっているため、その漁期は極めて短く、夏と秋の2回。それぞれ2週間〜1ヶ月程のようです。
これも7月でなければ巡り会えなかった出会い。
美しいトドワラの景色を眺めながら、いただきます。
初めて食べた北海しまえびは本当に美味しい。
エビでありながらまるでカニのような風味もあり、味噌もカニ味噌のような味わい。
身もエビの香りが強く旨味があり、いくらでも食べられそうです。
ちなみに生きている姿がこちら。
貴重な海の恵みに感謝して、戴きました。
ネイチャーセンターの2階は資料館になっており、野付半島の歴史や野生動物についての説明が豊富にあります。
野付半島は野鳥観察の聖地であり、とんでもない種類の野鳥が通年で見られます。
ただ、知識皆無のボクは見つけるのも困難でした^^;;
トドワラへは野付半島ネイチャーセンターから徒歩で約30分。
今回は時間が限られていることもあったのでチートをして、トラクターバスを利用しました。(往復1,000円)
そしてトドワラへ到着です。
ここを「世界の果て」や「この世の終わり」のように表現する人がいますが、なんとなくわかります。
整備された木の小道を歩くことが出来ます。
少なくとも150年前にはここはトドマツとアカエゾマツの森林がありました。
しかし今となっては海水の流入により、荒廃した地が広がっています。
10数年前の写真を見る限りではもっと枯れ木が広がっていたので、その印象を持ってきたのですが、実際に残っている枯れ木は本当に僅か。
倒れた木々は流されていたり、地に還っていたり、ほとんどが消滅してしまっています。
今だけの風景・・・
100年後にも消滅するとも言われていますが、私が生きているうちにここの風景は無くなってしまうのでしょうか。
少なくとも、この日ここで見た風景はこの瞬間のものであることは確かなのです。
トドワラの小道も以前に崩落して、今は新しくなっています。
しかし、ここに立ち入れなくなる時も遠くない未来に来るのでしょう・・・
新しい風景が生まれ、過去の風景は失われていく。
当たり前のことなのですが、それに対して少し寂しさを感じてしまう自分がいるのです。
野付半島ネイチャーセンターからさらに少し先へ進み、野付崎灯台へと向かいます。
ここが野付半島の実質的な先端。
実質というのは、これ以上先は漁業関係者しか立ち入ることが出来ないから。
実際にはこの先にもまだ半島は続いている。
波の音だけが聴こえる・・・
海に囲まれ、ポツンと白い灯台が建っている。
空は薄曇りで、太陽はどこかへ行ってしまった。
あまりにも寂しい風景だった。
野付半島のトドワラと並んでもう一つの有名な景勝地である「ナラワラ」にも向かった。
こちらはミズナラの森林が海水の侵食によって立ち枯れた風景。
トドワラがトドマツなのに対し、ナラワラはミズナラ、ナナカマド、ダケカンバ、エゾイタヤなどです。
原因はトドワラと同じ、海水の侵食です。
ナラワラはトドワラよりも、比較的まだ数が残っています。
しかし、ここもきっと将来的には消滅する風景なのでしょう・・・
何の気無しにズームレンズで撮影してみると、羽を休めている水鳥が多数見られました。
枯死した木々と共存する野鳥たち。
この生命のコントラストこそが、野付半島の魅力なのかもしれません。
野付半島を後にし、今日の宿である川湯温泉へと向かいます。
同じ道を通るのも芸がないので、R244で斜里→清里町を経由し、川湯温泉へと向かいました。
清里町からは、勇ましくそびえ立つ斜里岳がよく見えました。
どこに寄るわけでもなく淡々と走り続けました。
決して快晴でもない空が、ただただ暗くなってゆく。
冴えないドライブのようですが、このドライブが今回の旅で一番心が満たされました。
北海道ツーリングの中では、こういう瞬間があるのです。
何かがドンピシャで自分の感性を刺激する瞬間が…
5日目へ続く。