北海道定点観測ツーリング 5日目
知床で朝食をいただく。
朝食もご多分に漏れず、どれもこれも本当に美味しい。
中でも「知床あっぺ飯」というお茶漬けは2014年にこちらに泊まって食べた際にとても気に入り、また食べたいと思っていたので念願の再会。
当時は夕食に出てきた記憶で昨夜の夕食には無かったので少し残念に感じていたのだが、朝食に用意されていたのだ。良かった良かった…
別に郷土料理というわけでも無いと思うのだが(多分)、鮭がよく獲れる知床の食材を活かし、鮭の漬けやら海藻やらを乗っけてだし茶漬けでいただく。
これが大好物なのだ。
知床は晴れているが、今日の天気はそこそこ下り坂の予報。
ひとまず羅臼側に向かい、南下を決めていた。
知床横断道路はご覧の通り雲の中。
ここは変化の激しい気候条件の中越える峠であり、北海道の中で唯一降雪により冬期通行止めがされる国道。
ついさっきまで晴れていたと思いきや一気に雲に覆われたり、その逆も然り。
ものすごい自然環境に晒された道路なのだ。
羅臼側に少し下ったところで、知床羅臼ビジターセンターに立ち寄る。
ここには自然の間欠泉があり、いつか見れればと思っていた。
間欠泉は日本にいくつかあれど絶対的な数はかなり少なく、なおかつ観光地化がほとんどされず自然の姿のまま残っているのは唯一だろう。
噴出予想時刻はビジターセンターの職員が毎日更新してくれているので、待ちぼうけをする必要もなく大変ありがたい。
それにしても、これだけの精度でどうやって予測しているのだろうか?
で、現在時刻は10:55頃。
「あと2分じゃん!(汗)」
ってことで、ひょっとしたら既に噴出してしまったかもと思いつつ、競歩で間欠泉噴出孔へ。
が、特に何も起こっておらず。もう噴出してしまっただろうか?
すると職員の方が「熊が出没してるんで気をつけてくださいね〜」と声をかけてきた。
どうやらついさっき目撃があったらしく、熊を探しているらしい。いや、、、大変な仕事だ…
で、少し待っていると・・・
キタ!!!
予兆もなく突然高く噴き上がる”温泉”。
マニアを語れるほどではないレベルの「温泉好き」の自分だが、温泉と言っても大抵良い感じの温泉街で宿や日帰り温泉に入浴して、源泉をちょっと覗く程度。
観光地化されていないそのままの姿の大地からこうして高温泉が噴出するのを見ると、本当に自然というのは不思議なものだ。
全てが絶妙なバランスで成り立っているとしか思えず、地球の歴史に比べれば人類の歴史など比較にならないほど浅い。
人類が人類に対して環境保護を叫ぶ昨今、ヒトの存在は自然なことなのか否か、どこまでが自然保護でそこまでが自然破壊なのか、なんだかわからなくなってくる。
それにしても、10:57の予測に対して11:01なので、本当に高精度な予測で驚いた。
その後は羅臼側に下り、道の駅 知床・らうすで休憩。
ここでは友人おすすめの羅臼昆布と羅臼の昆布醤油を仕入れた。
さらに、狙っていた本日の宿を予約しようとすると、残念ながら満室(泣)
まあとはいえ、他にも選択肢はあるわけで、別の宿を抑えて行程を泣く泣く変更し、事なきを得るのでした。
これもまた、旅というものです。
ここからはR335からR244と、海沿いを尾岱沼に向けてひらすらクルージング。
が、いつもならアクセルを踏み抜く白ボクスターの友人S氏のペースがどうもおかしい・・・
聞くと、先日都内で通行禁止違反とやらで、帝国軍の監視下に置かれているらしい。
それに、なんと昨日(9/21)から「秋の全国交通安全運動」という名目で、実態は善良な庶民を狩るための組織の活動が始まっているのだ。
実は昨年7月に北海道へ来た時も、この悪質極まりない運動期間と重なってしまい、非常に”強いられた”のだ。
今年は9月なのでまさか重なるまいとノーチェックだったのだが、これは大いなる不覚だった。猛省。
まあそんなこんなで、道の駅 おだいとう。
ここに立ち寄る最大の理由は「しまえび醤油」を買うため。
このしまえび醤油、道の駅おだいとう限定と謳っているのだが、通販も無く本当にここでしか買えないのだ。
昨年冬に訪れた際に購入し、美味しかったので今回は2本購入した。
すっかり曇天となってしまったが展望台にも立ち寄り、本来であれば寄りたかったが時間の関係で断念した野付半島を遠目に見つつ、ソフトクリームタイム。
すごいクリーミーで美味しいソフトクリームだった。
そろそろ出発するかというところで、駐車場で関東ナンバーの2代目ジムニーに乗った方に話しかけられた。
996型の911を所有されているそうで、軽くクルマ談義。
ジムニーとポルシェの2台持ちとは、車好きとしてはある種理想的な構成で羨ましい限り・・・
さらに、轢かれた巨体のエゾシカを見たとのことで、注意喚起をいただいた。
そう、北海道でエゾシカと衝突すれば、車はただじゃ済まないどころか、下手すりゃ廃車なのだ。
一昨日、夜間に川湯温泉へ向かう道中でも鹿の群れに遭遇しており、気をつけるばかり…
さて、次の目的地は根室の春国岱あたりを目指し、R244、R243、R44を経由する。
友人は前述の通りなので、ここからは私が切り込み隊長(別名:生贄)となり、進軍。
目指す春国岱は木道が整備されており、軽くハイキングができるので、逃した野付半島の代わりというわけではないがちょうどよいかもしれない。
しかしながら、すっかり天気が悪くなり小雨が降り続いている。
「この雨だと行っても微妙かもなぁ…」
そしてさらに、ガソリンの給油タイミングも気になってきた。
この後は一応天気悪しといえど、北太平洋シーサイドラインで西進しようと決めていたので、ここらで給油しておくべきかもしれない。どうしようかなぁ…
…などと考え事をしていると、エゾシカではなく、1人の”男”が飛び出してきた。
「おいおい、いくらのんびり走ってるからと言ってこんな国道でいきなり飛び出してきたら危ね
66km/h(+16km/h)、1点/12,000円の出費である。
まずは、イントロダクションとして帝国軍との交流の一部始終を記録として残す。
軍「速度確認お願いしますー」
我「”66″か・・・念の為ですけど単位は”km/h”ですよね?」軍「屋根開けっぱなしで大丈夫ですか?濡れませんか?」
我「大丈夫だ、問題ない。(そもそもここで止められなければ、濡れることはなかったのだ)」軍「こういう天気のときは鹿の飛び出しが増えるので、気をつけてくださいね〜」
我「なるほど、それはこの地をよく知ってるからこその有益な情報ですね。この地で恐れているのは、鹿と帝国軍だけなので…」
それでは次に、後学のためにもきちんと「原因分析」をしよう。
・たかだかエゾシカ程度の速度しか出していなかったという「慢心」
・曇天&霧雨による視界不良+考え事により、iPhoneによる注意喚起と道路脇の青パイロンを見逃すという「過失」
原因ときたら次は当然「対策」だ。
・たとえ誰一人歩いていない見通しの良い直線道路で”人類の叡智の結晶”を操縦していても、エゾシカの速度は越えるな。
・国道走行時は注意警戒を怠らず、車載器による注意喚起に気を配り、道路脇の赤パイロンだけでなく青パイロンにも気をつけろ。
・そもそも全国交通安全運動期間中に走るな。
こういう事態のために点数を”温存”しているので”適当な消費行動”であるとはいえ、今回は防げた不慮のアクシデントである。誠に遺憾。
「こういう天気のときは鹿の飛び出しが多い」という情報を12,000円で悪質な情報商材屋に売りつけられたとでも思うこととし、帝国軍に別れを告げた。
ま、エゾシカに当たるよりは安く済んだか…
というわけで、皆さんも気をつけてくださいね(笑)
さて、そんなわけで我々は”残基2/3″から”残基1/3″となり、帝国軍の称する”運動”に対する我々の”団体戦”にも黄色信号が灯され、以降のツーリングのテーマソングは「翼の折れたエンジェル」となった。
予定外の交流会により時間をロスしたことや、そもそも雨が降っていることもあり春国岱はパスし、早々に国道を離れ、北太平洋シーサイドラインへ。
途中、浜中町でガソリンを給油し、真っ白の北太平洋シーサイドラインを厚岸まで駆け抜けた。
道の駅 厚岸グルメパークはその名に恥じず、強豪がひしめく北海道の道の駅の中でも、圧倒的なグルメを提供してくれる道の駅だ。
一同注文したのは「あっけし牡蠣ステーキ丼」
牡蠣ステーキ丼に加え、カキフライと生牡蠣までセットになったサイコーに贅沢な御膳。
なんと言っても厚岸は牡蠣の名産地。
牡蠣の産地といえば、一般的に広島や宮城を挙げるだろう。
まあ実際その通りで、確かに漁獲量では敵わない。が、ここ厚岸ではなんと1年中(!)美味しい牡蠣が食べられるのだ。
こんな素晴らしいことが許されるのか…?
そして重要な「味」についても、とてつもなく美味。
あまり一般的に牡蠣の名産地として知られていない気もするが、牡蠣好きならばぜひとも訪れるべき場所だと思う。
その後は日没後のd14、R391、R243と走り、屈斜路湖畔の宿で1日を終えた。
6日目へ続く。