原点、四国ツーリング 1日目

正直なところ、旅に出る気分ではなかった。

夏頃から頭の片隅に気がかりなことが居座っていることに加え、突如生まれた休暇だったので計画も準備も何一つできていない。

それでも、時間があれば旅に出る。旅に出なければならない。
もはや理屈ではなく、本能である。

さて、1週間ちょっとの休暇を急遽取得したが、旅の準備は何も整っていなかった。
どこに行くかすら、アテがなかった。

現実的に考えて11月も下旬となれば、北は雪が降る可能性が高い。となれば必然的に西。
ボクスターでは本土4島で唯一四国だけは未踏だったので、とりあえず四国を目指すことにした。
それに、初めてのロングツーリングとも言えるのは2015年に行った四国ツーリングだ。
ある意味、このようなロードトリップの原点とも言える場所かもしれない。
改めてトレースしてみるのも悪くない。きっと、なるようになるさ…


夜が明け始めた薄暗がりのAM5時頃、自宅を出発。

今日は日曜日だから高速道路も休日割引が効くし、なんとなく休日の雰囲気漂うハイウェイラン。
休暇は土曜日からなのだが、諸々のタスク処理していたら丸一日かかってしまい日曜日の出発となった。一部は終わっていないが…

特に渋滞やトラフィックに巻き込まれることもなく、そのまま順調に走行を続けた。
余談だが、9月にF1日本GPを観に鈴鹿サーキットへ行ったのだが、帰りになんとなく新東名を選択したら退屈すぎてものすごく疲労して軽くトラウマになったこともあり、今回は当然東名である。

で、9時頃に浜名湖SA。

特にこれといって用事もなかったのだが、長く退屈な静岡区間を走り終えた区切りとして、なんとなく浜名湖SAに立ち寄ることが多い。
それに、晴れていれば浜名湖の景色も爽快で良いしね。

まだ空腹感も無かったので、すぐに再出発。

伊勢湾岸自動車道を走り、ナガシマスパーランド横。

ここもなんとなく、自分の中でチェックポイント的になっている。
日曜朝の伊勢湾岸道は、交通量はやや多めなものの渋滞は無く、すんなりと通過することができた。
いいね、いい感じ。

その後は新名神を走り、神戸市街の渋滞を回避すべく中国道で迂回し、明石海峡大橋へ向かう。

この時点でお昼を迎えつつあり、朝から何も食べていない故に急激にお腹が空いてきた。
とはいえ、あと1時間程度走れば淡路島SAなので、”茶腹も一時”ならぬ”コーラ腹も一時”としてコーラを飲んで空腹をしのぎつつ、走り続けた。

正午を回った頃、淡路島SAに到着。

結局、浜名湖SAでトイレ休憩に立ち寄った以外はノンストップで、7時間ちょいで到着。体調も道もすこぶる順調だった。
SAにはやたらポルシェが多かったのだが、どうやらミーティングが催されていたようだった。

誤算だったのは今日が日曜日ということで、淡路島SAは関西弁を話す人間達で溢れかえっており、ちょうどお昼時ということもあり食堂は大混雑だった…。
しかし、関西からの観光客との勘と経験の違い(?)を見せるべく、上り線移動。淡路島SAは上下線の移動が自由だ。

淡路島SAの上り線は、下り線よりも立地的に高い場所にある。
そのため、個人的には明石海峡大橋も下り側からのほうがよく見える、気がする。

観覧車があるのが淡路島SAの下り側

目論見通り、上り側は人も少なく、おまけに食堂のメニューも大して変わらないので作戦成功。
文字通り、”高みの見物”となった。

淡路島のしらす丼をいただき、再出発。

ここでルーフをオープンにし、秋の爽快な風を存分に取り込んだ。
やっぱりサイコー!いざ、四国ツーリング!

屋根も開けてテンションも上がり、明石海峡大橋を渡ればなんとなく到達感があるのだが、実際には渡った先は淡路島(兵庫県)である。

なので、四国の徳島県へは淡路島を縦断し鳴門海峡を目指すことになるのだが、これが案外長い。
具体的には約60kmなのだが、距離以上に長く感じるのは関東で生まれ育った人間の持つ「島」に対するサイズ感を大きく超えてくるからだろう。
地図で見れば一目瞭然で大きい島なのだが、「島」と言われるとどうしても小さな離島を想像してしまうのだ…。

グチグチ言いながら、ようやく大鳴門橋。

ついに四国上陸!とテンションが上がるべきところなのだが、そのテンションは明石海峡大橋で使ってしまい、さらに長く退屈な淡路島区間を走ることですっかりテンションも元通り。
大鳴門橋は四国の玄関口なのだが、損をしていると思う。

今日の宿は、淡路島区間で休憩したPAで予約した。
2015年のツーリングでは徳島市街の適当な宿に泊まったこともあり、今回も徳島市街へ。
つまり、もう既に着いてしまったのだが、今日は移動日と割り切っているので、明日以降のツーリングに備えることにした。

とはいえ時間はあるので、以前のように鳴門スカイラインをのんびりと流してみたものの、日曜なのでバイクが多くて駐車場も埋まっており、イマイチだった。
テンションも上がらないので、せめて夕日でも見ようと車を走らせていたのだが、のんびり走ったりガソリンを入れたりしている間にすっかり日没を迎えてしまった。

それでも、天高く馬肥ゆる秋の夕暮れは美しい。
それに加えて、美しい夕暮れの中をオープンカーで走る時間は格別である。

日は沈んでしまったものの、日峰山にある展望台を訪れた。

着いた頃にはすっかり薄暗くなったが、それでもグラデーションの空は綺麗だった。

明日からの天気も快晴が続くことが予報されている。
家を出る前はあまり乗り気ではなかったが、結局旅に出れば楽しいのだ。

今日の宿は原点回帰(?)ということで素泊まりなので、夕飯を調達することに。

徳島にはキョーエイというご当地スーパーがあり、キョーエイ沖浜店に立ち寄った。
ここですだちブリの刺し身とオムそば弁当を調達し、今日の夕食とすることにした。

今日の宿は「眉山海月
眉山という山の上にあり、大変に眺望が良い宿である。プレオープン期間中ということで、素泊まり限定かつ大浴場が温泉ではないとのことなのだが、その代わりお得に泊まることができた。

部屋からの夜景

さらにおまけに、どうやら徳島県ではキャンペーンをやっているようで、明日までが期限で徳島県内で使える5,000円分のクーポンが付いてきた。
ただ、明日は南下するつもりなのですぐに高知に入ってしまう。それまでに5,000円分のお土産を買うという、有難いミッションが生まれた。

さて、明日からはボクスターでは初めての四国ツーリングの始まりだ。

(続く)

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