北海道ツーリング2024 3日目

稚内の朝。この日も予報通り、快晴だった。

稚内の宿を出発し、すぐさまオープンドライブの開始。のんびりと暖気しつつ広大なR238で宗谷岬方面へと走らせる。
そして王道の宗谷丘陵ルート、d889へ。

雲ひとつない青空、広大に広がる丘陵と草原、青い海に浮かぶサハリン・・・
日本最北の草原には、いつまでも走っていたい道が続いている。

気温もまだ上がりきっていない朝一の宗谷丘陵は、澄んだ空気が美味しかった。

宗谷丘陵は氷河期に地中の水分が凍結と融解を繰り返し、それにより土がゆっくりと動くことでつくられた「周氷河地形」と呼ばれる地形だそうだ。
丸みを帯びた独特ななだらかな稜線が特徴的。

そして宗谷丘陵にも、57基のウインドファームが2005年から稼働している。
僕はこれが無い頃の宗谷丘陵を知らないしウインドファーム込みで宗谷丘陵の風景と認識しているけど、珍しい地形なのだからウインドファームが無い頃の宗谷丘陵の風景も見たかった、気がする。

宗谷丘陵は肉牛の産地でもあり、宗谷黒牛というブランド牛が飼育されている。
すぐ近くで草を食べていた。

そして宗谷岬公園へ。

いつも宗谷岬は混雑しているので、立ち寄るのは宗谷岬公園の方が多い。
こっちの方が高台にあるし、ほんの少しだけ景色も良いはず…である。

朝ということもあり、空気も澄んでいてサハリンがよく見えた。
距離にして43kmほど。つい数年前までは稚内と繋ぐ定期航路もあったようだが、今となっては近くて遠い場所。

宗谷岬は宗谷公園から見下ろすのが良いと言ったが、見下ろしていたら今日はそこまで人が多くなかったので、結局降りてきた。
何度も訪れているし、賑やかな雰囲気もあり最果て感は薄いのが正直な感想だが、そうは言っても日本最北端というのは旅人にとって特別な場所であることには変わりない。

そのまま最北端給油所で給油をしようと思ったが、こちらは待ちの車列ができていたのでパス。
ちなみに、給油すると最北端給油所での給油証明書と、手作りの貝殻の御守りが貰える。
以前ここで戴いた御守りはボクスターに付けてあるので、引き続き頑張ってもらうことにした。

さて、宗谷岬から先は日本海と離れ、オホーツク海との旅が始まる。
R238を走り、猿払へと向かった。

そして道の駅 さるふつ公園へ。
お目当てはもちろん・・・

日本有数のホタテの名産地、猿払村で食べるホタテ丼だ。

ここで食べるホタテは大きく、濃厚で甘さも感じ、繊維感があって歯応え抜群。
あまり「ホタテ丼」という食べ物は目することが無いのだが、ここではそれが成立する美味しさ。

ホタテが好きというのもあるが、なんだかんだ毎回立ち寄り、毎回食べているくらいには気に入っている。
…というよりも、猿払に来たらもはやスルー出来ない(汗)

大満足の朝食をいただき、道の駅でいくつかの猿払土産を仕入れて出発した。

次に向かったのは、ほど近いエサヌカ線。

なんだかんだ言いつつも、毎回訪れているエサヌカ線。
だだっ広い草原を1本の道が貫き、逃げ水を追うように走る体験は実に北海道らしい。
それゆえ、随分と交通量が増えたように思う。まぁ、”以前に比べて”というレベルの話ではあるが。

そしてエサヌカ線を終点まで走り、再び国道へと戻ると浜頓別町へと行き着く。
以前給油した浜頓別のホクレンは定休日だったので、その先のエネオスで給油。

ここから先は、いつもであれば内陸へと舵を切り、お気に入りのクッチャロ湖を眺めてから道道へと向かうことが多いのだが、今回はそのまま海沿いで枝幸まで向かうことにした。
R238も海沿いを一通り走ってはいるものの、久々に改めて晴れた日に走ってみようって魂胆だ。

そして向かったのは、初めて訪れる北見神威岬。
今ではトンネルでバイパスされた場所に位置しているので、国道から外れた旧道に入る必要がある。
旧道を少し走ると小さな駐車スペースがあり、迫り来るような断崖を見上げた先に、白黒の灯台が佇んでいる。

北見神威岬は、襟裳岬から続く日高山脈を作った造山運動の北限側だと言われている。
はるか昔にプレート同士が衝突して北海道が形作られ、そしてせり上がって日高山脈が形成されたわけだが、その北端が北見神威岬なのだとか。

ちなみにこの道、2017年から3年ほど擁壁崩落のため通行止めとなっていた。
そのため、枝幸側の道は復旧箇所が一部1車線となっている。もちろん、ご覧の通り見通し抜群なので通行には何ら問題ない。

枝幸から先は内陸へと舵を切り、d12→d120と繋ぎ、道道ワインディングランを開始。

道北の山中を征く道道ルートは、交通量も僅少で緩やかなコーナーが続くハイスピードワインディングルート。
数ある北海道のドライビングコースの中でも、これほどひたすらにドライビングに集中できるルートは数少ないと感じる。

時折現れる小さな町や牧場ではスローダウンしてクールダウンし、再び自然豊かな山中に突入しアクセルを踏み込む・・・
この繰り返しが最高に気持ち良い!

d120からd49へとスイッチする交差点に、トロッコ王国美深という施設がある。

こちらは、1985年に全線廃止された国鉄 美幸線の廃線跡の一部区間、約5kmを使って、トロッコ列車が運行されている。
ちなみに駅名標にある通り、ここは旧仁宇布(にうぷ)駅だったそうだ。

ただのトロッコ列車ならスルーするところだが、ここの面白いところはエンジン付きのトロッコを、自分でアクセルを踏んで運転できること。

ここは正時ごとに案内しており、以前に訪れた際は残念ながら時間が合わず断念。
今回も13時直前に到着したため既に案内が始まっていたが、ダメ元で聞いたところOKとのことで念願の乗車!

訪れる際は、正時の10分前目安とするのが良さそうだ。ちなみに乗車時間は往復10kmで約40分ほど。

右足でスロットルペダルを踏み込むとトロッコは動き出し、徐々に加速する。
まるでローカル線に乗っているかのようなジョイント音を奏でながら、全身で気持ち良い秋風が感じられてサイコ〜

車窓(?)は広々した草原区間から森林区間へと入り、何度か川を渡る鉄橋を通ったりと、とにかく変化に富んでいて全く飽きない。
それに、ホンモノの線路が目の前に広がり、自分の操作で列車(?)を動かすなんて体験はなかなかない。ローカル線に乗るとつい前面展望に張り付きがちな乗り物好きキッズ(※自分のこと)にとって、自然と笑顔になる体験だ。

(参考)Top Gear | Series 17, Episode 4 | BBCより

この体験をしながら、Top GearのCar Trainという企画を思い出した。流石にエンジンはV12とはいかないが、アクセル全開にすればそれなりの速度が出る(汗)
特定条件に限れば、列車のオープンカーも最高である。

大満足のトロッコ乗車を終え、再び自動車の旅を再開。

ここからはd49→d60へと繋ぎ、下川町を目指す。
引き続き獣臭い道道ワインディングランが続き、対向車すら数える程なのだが、にも関わらずブラックの991とすれ違った。

こんな道を991で走る方がいることに驚きつつしばらく走ると、一気に視界が開け、しもかわ珊瑠(サンル)湖の橋へと出た。
しもかわ珊瑠湖は2018年に竣工したサンルダムによってできたダム湖だそうで、まるでシューパロ湖を彷彿とさせるような水没風景が印象的だった。

そして橋を渡ると、おや・・・!?

道端のパーキングに佇む、鮮やかなサファイアブルーの981ボクスター。
パーキングから手を振っていただき、wataさんだと瞬時に確信!
僭越ながらパーキングにお邪魔させていただき、お声がけして並べさせていただいた。

ご存知の方も多いであろうwataさんは「Wind and Light, Boxster.」という超・有名ブログのオーナーさん。
私が備忘録としてのんびり気まぐれ更新している無用な当サイトとは異なり、素晴らしいツーリング記録やメンテナンス記録などの記事の数々で、以前から愛読させていただいている。
なので、北海道に滞在されていることも記事で認識していたものの、まさか広い大地の北海道でばったりお会い出来るとは・・・幸運にも程がある。

wataさんのボクスターは25万km(!)を超えているとのことだが、距離を感じさせぬほど綺麗でありながら、いわゆる”走っている車”特有のオーラを放っており抜群に渋くて格好良い。
きちんと走らせ、きちんとメンテナンスする…まさにカーライフのお手本だと感じた。
年齢的にもツーリング的にも981オーナーとしても大先輩かつ初対面にも関わらず気さくに接していただき、とても楽しいひと時を過ごさせていただいた。

もちろん、今回の北海道ツーリング一番の思い出になったことは言うまでもない。

美深方面に向かうというwataさんとお別れし、興奮冷め止まぬ中、R239を興部方面へ向かう。
そして道の駅 にしおこっぺ花夢に立ち寄った。

さて、今日の宿は網走に抑えている。
綺麗な夕日でも見られるかと思い、オホーツク海まで出たものの・・・

今日は冴えない日没だった。

そのままR239をひた走り、網走湖畔の温泉宿で思い出深い1日を終えた。

(続く)

  • X