北海道ツーリング2024 4日目

網走で迎える4日目の朝。

網走湖畔に位置し、アルカリ性単純温泉に浸かれる網走観光ホテルは随分安かったにも関わらず朝食付き。
北海道らしい朝食で腹を満たし、夜露に濡れたボクスターで出発した。

まず向かった先は・・・洗車場(汗)

昨日見たらあまりにも虫だらけでグロテスクになってきたので、ここらでリセット。
カーライフの中でも洗車という行為はただただ疲れるので基本好きではないのだが、だからこそ定期的に汚れを落としておかないと後でさらに面倒になる…。

高圧洗浄機でざっと流し、本日の旅程スタート。

例年網走に泊まるわけは、晴天の能取岬を訪れるためと言っても良い。
気持ちの良い青空が広がる網走の朝は、自然と期待が高まる。

道道76号線、通称美岬ライン。能取岬へのアプローチ。
まさにピッタリの名前だと、ここを訪れる度に感じさせてくれる。

森林の先に見えるのは、白黒の灯台と背景に青い海。
森林を抜けると視界がパッと開け、海に向かって緩やかに下るアスファルト・・・

この風景が好きなのだ。

海に囲まれた日本には全国各地に灯台は3千基以上あるそうなのだが、ここまで魅力的なアプローチは他にあるのだろうか。

能取岬灯台は広大な草原に建つ、白黒の立派な灯台。
この日は少し雲がかっているが、遥か遠くには知床連山も望める。
オホーツク海から潮風が優しく吹き、草原を揺らす。

やっぱり、この風景が大好きなのだ。

今年の能取岬の風景を目に焼き付けるように、一瞬一瞬を噛み締めて、ぐるりと一周歩いた。

しばらくはベンチで黄昏ていたが、今日はまだ始まったばかり。
後ろ髪を引かれる思いで、能取岬を後にした。

この時期に能取岬とセットで訪れたいのが、卯原内サンゴ草群生地。

正式名称は「アッケシソウ」といい、厚岸湖で発見されたことからアッケシソウと命名されたそう。
例年9月頃になると真っ紅に染まり、能取湖の湖面は赤い絨毯となる。
一時期は数を減らしていたそうなのだが、保全活動のお陰で順調に数を増やしているようだ。

オホーツク海に沿って走り、小さな展望台のある北浜駅へ。

さ〜て、この先どうしようか(爆)

昨晩なんとな〜く考えていた旅程では、今日は距離は控えめにして、あまり深く知らない清里や小清水のあたりをのんびり巡ろうかと思っていた。
が、ここに来て12時発表のアメダスを見ると、予報では晴れないはずの知床方面が晴れてきている模様。
知床はインバウンド客だらけで積極的に観光する気は起きないし、道路は挙動不審なレンタカーが溢れていて走るのにも適さないのだが、晴れた日に羅臼岳を望みながら知床横断道路を越えるというチョイスは悪くない。

悩みに悩んだ末、せっかく晴れているなら、と言う理由で知床へと向かうことにした。

そして、なんとなくいつも立ち寄る浜小清水駅の道の駅。

それにしても、今日は暑い・・・
正午を回り気温も上昇し、半袖でも汗ばむ陽気になってきた。
北海道上陸初日は雨上がりの道北だったこともあり心地よい気温だったが、ここに来ていよいよ暑さを感じるほどになってきた。
もう9月下旬の道東だというのに・・・たまらずソフトクリームを食べ、アクエリアスを購入した。

ここから先は、のんびりと車列に混ざって国道を走る。

オシンコシンの滝も混雑していたらスルーする気でいたが、駐車場も空いていたので立ち寄った。

滝に近づくと体感でわかるほどに一気に気温が下がり、ほのかに水飛沫を浴びるのがとても気持ち良い!
有名な観光地ではあるものの人も多くなく、涼しくてひと時の癒しとなった。

再び車に戻ると汗ばむ気温が戻り、ウトロへと向かう。

道の駅 うとろ・シリエトクへ立ち寄ったが、駐車場はほぼ満車で大人気。
軽く食事でもしようかと思っていたが、朝食をまぁまぁ食べていて空腹感もないのでスキップ。
基本的にツーリングに出ると食事の優先度が下がることに加え、運転しているだけでは大してカロリー消費しないので朝食を食べると昼食を抜きがちになるのが常である。

ところで、以前ここに訪れた時はトキシラズが食べられたのだが、今回訪れた時はサクラマスが提供されていた。時期や仕入れの違い?

お土産屋で知床土産をいくつか仕入れ、隣の知床世界遺産センターを見学して再出発となった。

さて、この先は幾多もの知床観光スポットがあるのだが、潔く全てスルー!
知床五湖へと向かう車列を横目に、知床横断道路へと突入した。

知床半島の中央にそびえる、圧巻の羅臼岳。
山頂に少し雲がかかっているものの、おおよそその姿を望むことができた。

知床横断道路は緩やかなコーナーを抜ける度にダイナミック風景が展開され、雄大な羅臼岳がどんどんと迫る。
こうして眺めているとスケール感がおかしくなってくるほどの自然の雄大さと迫力。
自然豊かな北海道の大地の中でも、ここは際立って自然の力を感じる場所だ。

これが見られただけでも、知床というチョイスは間違っていなかった。

羅臼方面も晴れている模様。
高くそびえる知床半島を境に天気が変わることが多々あるが、今回はとても天気に恵まれた峠越えとなった。
そして、いくらか涼しい。

やはり知床峠を越える観光客は多くないのか、知床峠から先は完全マイペースランとなり気持ちよいダウンヒルとなった。
なお、ここで散るとヒグマの餌食になるので要注意。

羅臼の町に降りたら、道の駅 知床・らうすへ立ち寄る。

ここでは上等な羅臼昆布を仕入れ、再出発。
R335をのんびりと南下する。

陽も傾き始め、穏やか気持ちでドライブしていると突如オービスガイドが30分以内の速度取り締まりアラートを発出。
すでに撤収中の様子だったが、場所はココ
どうやら2022年に整備されたバイパスルートのようで、走りやすく整備しておきながら取り締まるとは…まるで片手で砂糖を差し出し片手で鞭を振るうかのような残忍な行為である。
以後、「国後ストレート」と呼称することとした。

平和条約(全国交通安全運動)があるにも関わらず、先制攻撃を仕掛けてきた帝国軍。
攻撃は回避できたものの、二国間の緊張が高まったのは言うまでもない。

さ、内陸の道道へと舵を切り、今晩の宿である川湯温泉へと向かう。

眩しく輝く西陽に向かって西進し、開陽台に着いた頃にちょうど日没を迎えた。
山の稜線へと太陽が沈み、空はうっすらとしたグラデーションを残すのみとなった。

日没後の開陽台は人もまばらで少し寂しげな雰囲気。
360度視界に広がる空の淡い色彩を記憶に刻み、あまり暗くならないうちに出発した。
日没後は鹿の時間だ・・・

何度か動物の姿を確認しビビりながら走りつつ、無事に弟子屈へ到着。

夕食として、以前から前を通る度に気になっていたものの、一度も食べたことがない弟子屈ラーメンを頂くことに。

平日の夜にも関わらず、店内は少し待ちが出るほどの繁盛っぷり。
オーダーした魚介しぼり醤油ラーメンは濃厚で、チャーシューも丁寧に炙られていて美味しい。セットで注文した山わさび巻きもツーンと来るが、ラーメンとセットで食べると中和されてなかなかいい感じ。
待ちが出るのも納得の美味しさだった。

お腹も満たされたので、川湯温泉へ向かおう。

ちなみに川湯温泉へは20分ほどなのだが、この区間は動物の楽園。
道端には終身名誉害獣ことエゾシカの群れがいたりと大変に危険なので、時速40km程度で徐行しながら細心の注意を払って走行。
この20分がやたら長く感じ、この日最も疲れた運転となった。川湯温泉のセイコーマートへ無事に着いた頃にはやや安堵。

今宵の宿は「欣喜湯」

何年か前に日帰り入浴で利用させていただいたことはあるが、宿泊は初。それに、以前来た時から温泉がリニューアルしたとのこと。

半露天風呂は当然源泉掛け流しで、3つの温度に分かれた広々とした浴槽が魅力的。
気温15℃の中で浸かるぬる湯はずっと入っていられるほどの心地よさ。
硫黄が香る川湯温泉は大のお気に入りなのだが、それを心ゆくまで堪能できる素晴らしいお宿だ。

ロビーには釧路生まれの直木賞作家、桜木紫乃さんのサインを発見。
映画化された『ホテルローヤル』や『起終点駅 ターミナル』をはじめ、釧路を舞台とした作品が多い。
それにしても、とても達筆でちょっと感動・・・

眠りにつくためベッドに寝転がると、窓から明るい月明かりが差し込んだ。
そうだ、今日は中秋の名月だ。

(続く)

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