北海道グランド・ツーリング、2日目。(1日目はこちら)
数百人の乗客を乗せた「ゆうかり」は、定刻の4:30に小樽港に入港した。
スロープが開き、外へと出るとまだ薄暗く、青に染まっていた。
無事、北海道に上陸。思っていたほどは寒くない。
R231、通称オロロンラインを走り、ひたすら北を目指す。
天気は薄曇りだ。おそらく台風の影響もあり、今日の青空はあまり期待出来なさそうだ。
しかし、目的地までまだ300km以上もある。きっと晴れると信じて、ひたすら快走を続ける。
R231では、ところどころトンネルがあり、工事をしていた。
個人的なことを言えば、海を見ながら走るほうが気持ち良いし楽しいのだが、積雪の関係上、今後どんどんトンネルは増えていくのだろうか。
増毛からR232となり、オロロンラインをひたすら北上すると、利尻島が見えてくる。
天塩町の辺りで、ふと思い立って左折してみた。
するとどうだろう、利尻島を遠くに眺める素晴らしい農道が待っていた。
感動的な風景に出逢う・・・
国道のすぐとなりには、こんな気持ち良い道があるのか。
恐るべし北海道スケールだが、さすがに長くは続かず、道路工事の為に国道に戻されてしまった・・・
そしていよいよ、ここを走る為に北海道へ来たと言っても過言ではない、道道106号に入る。
右手に見える、無数のウィンドファームは「オトンルイ風力発電所」
28基の風車が並ぶ風景は圧巻だ。
〜そして、北緯45度線を越える〜
N字型のモニュメントは、北緯45度線を表している。
先日の日本海ツーリングで訪れた男鹿半島の入道埼灯台が北緯40度だったわけだから、そこからさらに5度、北に来たわけだ。
〜道道106号の旅〜
道道106号。別に何があるわけでもない。
ただただ、そこにはサロベツ原野が広がっている。
そしてその中を、一筋のアスファルトが貫いている。殺風景と言えば、そうかもしれない。
なぜここはこんなにも旅人を惹きつけるのだろう。
しかし実際に走れば、利尻富士を眺めながらそこを走ることは特別なことだと感じた。
「旅に終わりはない」
そう語りかけるかのように、道は北に向かってひたすら続いていた・・・
今日の利尻島は残念ながら雲が少しかかっている。が、その姿を拝むことが出来ただけでも良しとしよう。
やがて、柵もなくなり、文字通り一筋のアスファルトと姿を変える。
寂しく広がる海。風に吹かれ、靡くすすき。
北の大地には、もう秋が訪れているのだろう・・・
五感の全てを使って、心の奥深くにこの風景を刻んでいく。
果てしなく続く道道106号線。
この地で一人、孤独を楽しむのだ。それが好きで、一人旅を続けているのだろうか・・・
やがて北上し、「日本最北端の無人駅」と書かれている抜海駅に立ち寄る。
駅舎の中にはSLの写真が飾られていた。
鉄道ファンから寄贈されたみたいだけど、一体どんな目的で設置したのだろう。
今となっては観光用に走る程度となったSLだが、現役で旅人や上京する人々を日々運んでいる時代があったのだ。
忘れてはいけない時代がある。後世に伝えなければいけない時代があるのだ。
写真に収められたSLの勇姿は、やはり格好良い。
さらに北上を続け、ノシャップ岬へ。
随分とひと気のない写真だが、この数分前にはバスツアーの団体客が押し寄せ、嵐のように去って行った。
嵐が去った静けさの中、一人でこの風景を楽しんだ。
さてそろそろ昼食を、と思い、レストラン「シピリカ」でウニ丼を食べようと寄ったところ・・・
なんとも残念な出来事だ。北海道に来たら、大好物のエゾバフンウニのウニ丼を食べてやる!と思っていたのだから・・・
まあ、何を言っても仕方無い。旅とはそういうものだが、かと言ってここまで来てムラサキウニのウニ丼を食べる気も起きない・・・
諦めて、宗谷岬へとノーズを向かせる・・・
〜日本最北端 宗谷岬〜
日本最北端の地、宗谷岬。
ここは日本の旅人にとって特別な場所だ。旅人なら、一度は目指す場所ではないだろうか。
クルマで旅する人、バイクで旅する人、自転車で旅する人・・・
中には日本一周をしている人もいる。
それぞれの旅には物語がある。そしてその物語は、旅をした人にしかわからない。
近くにある「日本最北端給油所」で給油。
(748.3-354.1)/32.40=12.17km/L
昼食を食べる予定が、車の方が先に食事をしてしまった(汗)
さて、続いてドライバーの昼食。
ガソリンスタンドの反対側の急坂を駆け上がり、宗谷岬公園に到着。
このすぐとなりにある「間宮堂」というお店でホタテラーメンを頂く。
「北に来るほどうまくなる」ってのはちょっと大袈裟だが・・・
あっさりとしていながらコクのある塩ラーメン。
ホタテはさすがに大きく、美味しかった。
さて、腹ごしらえを済ませ、改めて遥か北を望む。
遠くに見える地はサハリン。
距離にしてわずか40kmほどしか離れていないそうだが、日本ではない。
領土問題の無い異国の地を見られる場所なんて、そうないのではないだろうか。
そして、宗谷丘陵を駆け抜ける・・・
道道889号線に出る。あぁ、ここはなんて素晴らしい道なのだろう・・・
こんな道がずっと続いていれば良いのに・・・
この道は轍が貝殻で出来ているのだ。
宗谷丘陵に乱立する無数のウィンドファームの上空には、晴れ間が姿を現していた。
台風の影響で雲は流れ、空は次々と表情を変えてゆく。
しかし、それ自体が風景に抑揚を付けてくれるのだ。
宗谷丘陵の旅。はるか北にサハリンを望み、のんびりと走るのだ・・・
そして再び道道889号へ。
こんな道から車高の低いスポーツカーが降りてくるもんで、奥にいるライダーさんに声を掛けられた。
なんと女性の方だったが、「この先って繋がってるんですか?」と。
生憎、この車では轍の段差がキツくてどこまで繋がっているのか偵察出来なかったのでわからなかった。
まあスポーツタイプのバイクじゃキビシイかも^^;;
別れを告げ、宿へと向かう・・・
宿に着いたものの、もう一度あの風景に逢いたくなり、再び車を走らせる。
道道106号線。どうしてここは、こうも魅力的なのだろう・・・
期待したような夕暮れには出逢えないとわかっていながらも、来てしまう。
辺りはただ、暗くなっていった。
この上なく孤独を感じるのだが、それがまた心地良いのだ。
(3日目)へ続く・・・
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BGM : Schroeder-Headz - Sleepin' Bird |